はじめに
突然ですが、ちょっと考えてみてください🤔
「10万円を投資すると、半々の確率で2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生するとします。あなたなら、どうしますか。」
「得のほうが大きいなら、やってみよう」と思いますか。それとも、「損するかもしれないなら、やめておこう」と思いますか💭
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年9月26日〜10月17日に、全国の18〜79歳の30,000人に聞いた「金融リテラシー調査2025年」では、この質問に72.8%の人が「投資しない」と答えました。10人いたら、7人くらいは見送る計算です📊
「損するのはイヤだなあ」と思うのは、自分だけではなさそうです😌この記事では、得より損が気になってしまう気持ちと、その気持ちとの付き合い方を考えます🧭
こんな人に読んでほしい
- 投資に興味はあるけれど、損をすることを考えると不安になる
- 得する可能性より、損する可能性が気になってしまう
- お金は増やしたいけれど、減るのはもっとイヤ
- 損を怖がる自分は、投資に向いていないのかもしれないと思う
「お金は増やしたい。でも、減るのは困る」。この2つの気持ちがぶつかって、なかなか決められない人に向けて書きました✍️
この記事の目的
損が怖い気持ちがどこから来るのかを知り、その気持ちと付き合いながら投資を始める方法を知る最初の一歩です。
結論:損が怖いのは自然なこと。怖さは消さずに、付き合っていく

人は、同じ金額なら、得した喜びより、損した痛みのほうを強く感じやすいと言われています。行動経済学で「損失回避」と呼ばれる心の動きです🧠だから、損が怖い自分を責める必要はありません🙆
怖さを無理に消す必要もありません。私は、手をつけない現金を持つ・超長期のチャートを信じる・幅広く分散された投資信託を選ぶ・少額から始める・値動きに慣れたら自動で積み立てるの5つで、怖さと付き合ってきました🤝
得な話なのに、7割が断る

冒頭の質問は、得と損の確率が半々で、得のほうが損の2倍ある条件です⚖️
それでも、同じ調査で「投資する」と答えた人は27.2%でした📉

年代別に見ると、「投資しない」と答えた人は、いちばん低い18〜29歳でも66.0%、いちばん高い70代では79.3%でした。若い世代でも、3人に2人は見送っています👥
男女別では、男性が62.9%、女性が82.4%でした。どちらも、半分を超える人が見送っています。
投資の経験がある人でも、見送る人は少なくありません。株式・投資信託・外貨預金などのすべてに投資している人でも、39.4%が「投資しない」と答えています。どれにも投資していない人では、87.8%でした😮
「投資しない」と答えるのは、間違いではありません。この質問は1回きりの勝負で、外れれば1万円が減ります。それを避けたいと思うのは、不自然なことではないからです👌
得より損を大きく感じる「損失回避」

人は、得と損を、同じものさしで感じているとは限りません📏
得したうれしさと、損したショックは同じではない
思いがけずお金が入ってきたら、うれしいですよね。では、同じ金額を失ったらどうでしょう💸
得したときは「ラッキー!」で終わっても、損したときは「あのお金があれば、あれもできたのに」と、しばらく気になってしまうことがあります。感じ方には個人差がありますが、同じ金額の得と損が、気持ちのうえで同じ大きさになるとは限りません。
「今あるお金が減る」は、想像しやすい
投資の利益は、これから得られるかもしれないお金です。一方、損は、今持っているお金が減ることとして想像できます👛
だから、「増えるかもしれない」という期待より、「今あるお金が減ったらどうしよう」という心配のほうが、頭の中で大きくなりがちです。まだ起きていない損なのに、想像の中ではずいぶん存在感があります👻
損の痛みは、得の喜びの「約2倍」と言われる

損失回避を提唱した研究者たちが1992年に発表した実験では、損の痛みは、同じ金額の得の喜びの約2倍(2.25倍)という結果でした🔬その後に行われた150本の研究をまとめた2024年の分析でも、平均は約2倍(1.96倍)です。損の痛みは、得の喜びの約2倍。これが、研究でくり返し示されてきた数字です📚
約2倍ということは、1万円を失う痛みを打ち消すのに、2万円ほどの得が要る計算です。冒頭の質問は、ちょうど「2万円の得か、1万円の損か」でした。気持ちのうえでは、ようやく釣り合うかどうかの条件だったことになります。7割の人が見送るのも、うなずけます😅
なぜ、損のほうが重く感じるのか

よく知られているのは、大昔の暮らしの名残だという説明です。
食べ物を余分に手に入れても、少し楽になるだけです。でも、失えば命に関わります🍖だから、得るチャンスより、失う危険のほうに強く反応する人が生き残りやすかった、という考え方です。損に敏感なのは、人が生き延びるために身につけた性質だと考えられています🧬
損を避ける気持ちは、自分を守る。でも、選択肢を狭めることもある

損を避けようとする気持ちは、自分のお金を守ってくれます。慎重に考えることで、大きな失敗を防げる場面もあります🛡️
ただ、損をする可能性が少しでもあるものをすべて避けると、得られるかもしれないものまで手放すことになります🚪損をする可能性があることと、投資にメリットがないことは、同じではありません。
私が怖さと付き合ってきた5つの方法

損が怖い気持ちは、私にもあります🙋その怖さを無理に消そうとせず、次の5つで付き合ってきました。調査の質問は1回きりの勝負でしたが、実際の投資は、金額も、買うものも、続け方も、自分で決められます。
手をつけない現金を持っておく
生活に必要なお金は、投資とは別に、現金で確保しておきます💴私は、最低でも生活費の半年〜1年分を、手をつけない現金として置いています。投資したお金が値下がりしても、暮らしは困らない。そう分かっているだけで、怖さはずいぶん小さくなります🍵
超長期のチャートを信じる

株価は、短い期間で見ると、上がったり下がったりします。でも、100年を超える超長期のチャートで見ると、景色が変わります🌄
私が支えにしてきたのは、米国の株式・債券・ゴールド・ドル(現金)を、長い年月で比べたチャートです。株式は、暴落を何度もくり返しながら、ほかのどれよりも大きく伸びてきました📈
昔からお金持ちは、株式に投資して富を築いてきた。その事実も、私の支えになっています。投資を始めた頃は、値下がりして怖くなるたびに、この長いチャートを見返していました👀
幅広く分散された投資信託を選ぶ
1つの会社の株だけを持っていると、その会社に何かあったとき、大きく値下がりします。たくさんの国や会社に幅広く分散された投資信託なら、どこか1つが悪くなっても、全体への影響は小さくて済みます。「1つが駄目でも、全部が駄目になるわけではない」と思えることが、怖さを和らげてくれます🌍
少額から始める
大きなお金を動かすのが不安なら、自分にとって無理のない少額から始めます。周りと金額を比べる必要はありません。「このくらいなら、値下がりしても落ち着いていられる」と思える金額が目安です🌱
値動きに慣れたら、自動で積み立てる
少額で始めて、上がったり下がったりする値動きに慣れてきたら、毎月同じ額を自動で積み立てる設定にします。自動にしておけば、「今、買っていいのか」と毎回悩まなくて済みます🤖
どの方法も、損をなくすものではありません。損が怖い気持ちを持ったまま、投資と付き合っていくための方法です🚶
まとめ

得のほうが大きい条件でも、30,000人のうち72.8%が「投資しない」と答えました。得のほうが大きいと分かっていても、人の気持ちは、そのとおりには動きません🎭
- 損が怖いのは自然なこと。自分を責めなくていい
- 損を避ける気持ちは自分を守るが、選択肢を狭めることもある
- 怖さは消さずに付き合う。手をつけない現金、超長期のチャート、幅広い分散、少額、自動の積み立て
「損をしたくない」という気持ちを否定せず、その気持ちに判断を任せきりにもしない。それが、損が怖い人の、投資との付き合い方だと思います🌈
あとがき
「得した喜びより、損した痛みのほうが2倍大きい」
初めてこの言葉を聞いたとき、妙に納得しました😳皆さんはどうでしょうか。損した記憶のほうが、多く残っていませんか。得した日のことはすぐ忘れるのに、損した日のことは、なぜかよく覚えているものです📝
私も、「投資で増やしたい。でも、減るのは嫌だー」と、減るほうにばかり気を取られていました。そう、あの日までは……。
YouTubeや本で超長期のチャートを見たとき、衝撃を受けました⚡親からは「投資をすると必ず損をする」と言われていたのに、チャートの中の株式は、長い目で見ると増え続けていたからです。親が嘘をついていたわけではありません。この事実を、知らなかっただけなのだと思います👪
そのあと、いくつかの投資信託の目論見書などでリターンを確かめてみると、私が見た範囲では、10年の期間でマイナスになっているものは、ほとんどありませんでした📄

そして、投資を本格的に始めました🚀
始めた頃は、マイナスになる日や月があると、心臓がバクバクしました💓プラスのときより、マイナスのときのほうが、画面を眺めている時間が2倍は長かったです(笑)。研究の「2倍」を、自分で証明していました🤣
そんなときこそ、超長期のチャートを眺めました🔭「今だけだから、大丈夫。これを過ぎたら、少しずつ右肩上がりになるから……」と、自分に言い聞かせていました。ほぼ自己暗示です。眺めたところで株価は1円も戻りませんが、心拍数は戻りました🫀
損の痛みが2倍なら、チャートを眺める回数も2倍にすればいい。当時は、そうやって下落の恐怖を乗り切っていました🏄
今は値動きにも慣れて、チャートを眺めて心を落ち着かせることは、なくなりました。あの頃の自己暗示は、慣れるまでの支えだったのだと思います🤗
出典:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「金融リテラシー調査2025年」の結果
参考:Tversky & Kahneman(1992)”Advances in Prospect Theory”/Brown ほか(2024)”Meta-analysis of Empirical Estimates of Loss Aversion”/ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』/ジェレミー・シーゲル『株式投資』

